寄稿「作家・井上靖の手紙が紹介される」

佐伯 研二 氏

米里の「人首文庫」所蔵資料の中に、高名な作家・井上靖の手紙がある。佐伯郁郎宛の手紙だが、郁郎は旧米里中学校校歌の作詞者でもある。他に、梁川・伊手・稲瀬・広瀬など、県内の約三十校の校歌を手掛けている。
そのように郁郎は詩人であり、一方では旧内務省図書課員でもあったため、詩人や作家、また児童文学者に至るまで、幅広い文学者との交流があり、それを示す諸資料が、彼の生家に保管され、現在「人首文庫」として開設している。
その中の一つに、井上靖の若き日の手紙があったのである。それが今回、一関在住の詩人で作家の小野寺苓先生のエッセー集『心の旅・井上靖紀行』(土曜美術社・2013年発行)の中で、詳しく紹介された。解説文には

「若き日の井上靖が、佐伯郁郎に宛てた一通の手紙との出会いが、小野寺さんを旅人にした。日本の生んだ世界的作家の文 学とゆかりの地をめぐるうち、それはいつしか小野寺さん自身の心の旅になる。詩人・北川れいとしても活躍する著者の珠玉のエッセー集は、さらに多くの読者を新たな旅路へ誘うことだろう。(一色真理)」また、本文中の冒頭には、次のように記されている。「岩手県奥州市江刺区米里に、山肌に抱かれるようにして静かな佇まいの私設文学資料館『人首文庫』がある。宮沢賢治の詩で有名な種山ヶ原へ行く道筋にあり、現在は米里と地名は変わっているが、かつてに地名は人首である。
『人首文庫』は、岩手の詩人・佐伯郁郎(本名・慎一・1901~1992)の生家の邸内に残されているいくつかの土蔵の中の一つを利用したもので、郁郎の残した蔵書、資料等を展示している。もともと郁郎の生家は人首城主に仕えた家柄で340年続いている旧家である。蔵の中には郁郎が生前交流した詩人、作家、児童文学者の手紙や写真、寄贈された本、彼が在職した内務省関係の資料等、計四千点余りがあるが、その中に井上靖の手紙と色紙がある。」

以下、関心のある方は、同書をご覧いただきたいと思う。

井上靖の手紙が紹介される

作家・井上靖の手紙が紹介される

作家・井上靖の手紙が紹介される